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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第九十六回》ふるさとの文化財

    旧宮崎家住宅きゅうみやざきけじゅうたく
    【国指定重要文化財】
    掲載日 平成21年3月15日

    郷土博物館西側に、旧北小曾木村字夕倉(現成木八丁目)から移築復元されている旧宮崎家住宅は、国指定の重要文化財です。

    市内にはほかに、旧吉野家住宅(新町)、福島家住宅(沢井)、馬場家御師おし住宅(御岳山)、旧稲葉家住宅(森下町)が都の文化財に指定されています。この四軒が名主や御師、商家の住宅であるのに対し、旧宮崎家住宅は、江戸時代の一般的な農家です。

    宮崎家のあった旧北小曾木村は、田畑が少なかったため、農業や山仕事のほかに、土地に産する石灰石を焼いて壁などの建築用材である石灰いしばい(消石灰)を生産して生計を立てていました。

    住宅の間取りは、入口を入るとかまどのある土間があります。囲炉裏いろりのある板張りの広間ひろまは、接客、団らん、食事、炊事などの生活の中心となる大きな部屋です。そして、デイ、オクと呼ばれている畳敷きの部屋があります。入口横には、水の流せる風呂場のような場所もあります。現代の2LDK住宅といったところでしょうか。

    屋根は入母屋いりもや造りで、かやと杉皮を交互にいています。これは虎のしま模様のように見えるところから「トラ葺き」と呼ばれる山村特有のものです。宮崎家が旧北小曾木村にあったころ、村には共有の茅戸かやと(茅を育てる山)があり、村人総出で茅を刈り、村の家々の屋根を順番に葺き替えていました。茅葺かやぶき屋根は、天然素材100%の屋根であり、茅が天然の断熱材となり、四季を通じて心地よい室内空間を生み出します。

    築200年以上の旧宮崎家住宅ですが、屋根は定期的に葺き替える必要があります。昭和54年6月に移築して以来、初めての屋根の葺き替えの準備が現在行われています。屋根は古くなり、トラ葺きの縞模様を確認することができなくなっていました。6月末には、新しく葺き替えられたトラ葺き屋根の旧宮崎家住宅を見ることができるようになります。

    旧宮崎家住宅はJR青梅駅より徒歩10分、釜の淵公園内にあり、一般公開されています。

    市文化財保護指導員
    小島 みどり
    旧宮崎家住宅 旧宮崎家住宅 旧宮崎家住宅
    旧宮崎家住宅 旧宮崎家住宅 旧宮崎家住宅写真上・農機具の数々の展示品
    写真左・この建物にはお風呂はありません。当時は水を浴びていたようです。行水をする場所だそうです。浴びた水は、下の桶にたまるようになっていて、貯めた水は畑にまいたそうです。
    旧宮崎家住宅
    移築前の北小曽木村(現在の市内成木の夕倉地区)という、埼玉県との境に近い標高300mほどの低山に囲まれた川沿いの集落にありました。【文化財住宅のしおりより】
    旧宮崎家住宅
    旧宮崎家住宅の間取り図
    【文化財住宅のしおりより】
    旧宮崎家住宅
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