<目次>表紙
(第1章)カガミガイとの出会い
1.研究を始めたきっかけ
  2.化石の標本作り   3.発掘をした浜名湖について   4.カガミガイについて調べた事 
5.カガミガイの採集  
(第2章)カガミガイの生態とカガミガイの貝殻の研究
1.今年の研究テーマ
  
2.研究内容 (1)カガミガイの生態 @カガミガイの飼育観察   
A砂にもぐる速さ調べ
   Bカガミガイとアサリの浄化作用   C温度と動きの関係
(2)カガミガイの貝殻を使った研究@顕微鏡などでの貝殻の観察  
A貝殻の重さに対する強さ調べ  B微生物の入った土に対する貝殻の強さ調べ    
C身の回りの液体に対する貝殻の強さ調べ
D化石の貝についていた砂泥からの水質調べ      
(第3章)研究の結果と今後の課題
1.研究の結果
     2.今後の課題と感想  3.最後に(貝のタイムカプセル) 4.参考文献    5.お世話になった方々 
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2 研究内容

(1)カガミガイの生態 

@カガミガイの飼育観察
(実験の目的)
海の二枚貝は飼育がむずかしいと言われているが、女河浦海岸で採ってきたカガミガイを飼育し、その生態を観察する。
(材料)
水そう2つ・フィルター付き循かんポンプ2個・水温を測る温度計・気温を測る温度計・海水・海の砂・バケツ・プラスチックのコップ・予備の海水を入れておくタンク
(方法)
2つの水そうに深さ三分の一ぐらいまで海の砂を入れ、海水を入れた。つぎに、湖西市女河浦海岸で採ってきたカガミガイ55個のうち20個を2つの水そうの砂の上にそれぞれ10個ずつ入れ、ポンプで海水をじゅんかんさせた。そして、毎朝7時に水そう近くの気温(室温)と水温を測ることにした。

(観察記録)
7月6日:曇一時雨、室温22℃、水温24℃。


前の日の夜に水そうにカガミガイを入れたが、まだ砂の中に入っていないものもあったので、入るところを観察することが出来た。じっとしているカガミガイが舌の形の足をスッと出してググッと砂に直角に立つ姿にはすごく感動した。


そして、うなずくみたいに前後に貝殻をゆすりながら入って行くかっこうが、とても面白かった。入っていく姿を写真にとってみたが、水そうに反射してうまくとれなかったのでスケッチをした。


7月7日:曇時々雨、室温22.5℃、水温24.5℃。
水そうに入れた20個のカガミガイのうち、1つだけは全く砂にもぐらずに死んでいたので、水そうから出した。

7月8日:曇時々雨、室温23.5℃、水温24.5℃。
どの個体もほとんど入出水管を出さなかった。

7月9日:曇一時雨、室温22.5℃、水温24.5℃。
左の水そうの真ん中に殻を半分出したままのものが出てきた。砂にもぐっているカガミガイを使って液体の浄化実験をした。

7月10日:雨一時曇、室温22.5℃、水温24.5℃。
前日から殻の半分を出したままのものはあまり元気がない感じだった。


7月11日:晴後一時雨、室温26℃、水温26.5℃。
ほとんどの貝が入出水管を出していたが、中でも右の水そう中の一つは8センチぐらい管を伸ばしてくるくる動かして、まるでダンスをしているみたいだった。


夜見たら、左の水そうの真ん中で貝殻を半分出していたのが死んでいた。
(どうして死んだんだろう・・・)
そっと出そうとしたら身がくずれてしまい、ひどいにおいになっていたので、左の水そうの水をコップでほとんどくみだして、女河浦海岸から持ってきた海水をタンクから入れ、フィルターも洗浄した。

7月12日:曇、室温24℃、水温25℃。

砂の中に黒い所(左写真○部)が出てきたのに気づいたので、あわててウォットに電話をしたら、高橋さんという方が「それは硫化水素といって、いわゆるイオウで生き物には毒だから海水をできるだけまめにかえればふせげるよ。」と教えてくれた。だから水替えをしていなかった右の水そうも水替えをしてフィルターも洗浄した。

7月13日:曇後雨、室温24.5℃、水温25.5℃。
朝、海水をとるために用宗海岸に行った。

用宗海岸は、女河浦海岸とはちがって海草がほとんどなかったので、栄養があるのか心配になった。午後からはカガミガイの砂にもぐる速さを調べた。

7月14日:曇、室温22.5℃、水温24.5℃。
また砂の中に黒い所が出てきた。


7月15日:曇時々雨、室温21℃、水温23.5℃。
用宗からもってきた海水で、両方の水そうとも水替えをしてフィルターも洗浄した。


7月16日:晴一時曇、室温22℃、水温24℃。
夜、水温がちょっとあがっていたらほとんどの貝が少し入出水管を出していた。

7月17日:曇一時晴、室温23.5℃、水温24.5℃。
朝と夕方観察をしたが、水管は出していなかった。

7月18日:曇、室温23℃、水温24℃。
朝と夕方観察をしたが、昨日と同じように水管は出していなかった。「栄養がなくて動かないのかな」と心配になったので、両方の水そうの水替えをしてフィルターも洗浄した。

7月19日:曇、室温24℃、水温25℃。
朝、観察をしたときは水管を出していなかった。その後、家族と熱海へ旅行に出かけた。

7月20日:曇一時晴、室温24℃、水温25℃。
熱海の海草がいっぱいついた海岸で海水をとって帰ってきた。この日の温度は夜測った。


7月21日:晴一時曇、室温25.5℃、水温26℃。
どの貝も活発に水管を出して活発に動いていた。


7月22日:曇後雨、室温25℃、水温25.5℃。
二つの貝だけが水管を少し出していた。


7月23日:雨、室温23℃、水温24℃。
熱海の海水に替え、フィルターも洗浄した。

7月24日:曇時々雨、室温22℃、水温24℃。
これまで水温の高い日に水管を出す様子が見られたので、夜、温度の実験をした。

7月25日:曇、室温25℃、水温25.5℃。
二つの貝だけが水管を出していた。

7月26日:曇時々雨、室温22.5℃、水温24.5℃。
どれも水管を出していなかった。

7月27日:曇一時雨、室温22℃、水温24℃。どれも水管を出していなかったので生きているかなと心配になったけれど、水そうから出してみたらどの貝もクッとしまる様子が見られたので、生きているんだなと安心した。実験に使ったカガミガイを女河浦海岸に返しに行った。

(観察のまとめ)


(結果とまとめ)
海の二枚貝の飼育は大変むずかしいと本やインターネットのページには書いてあったが、海水の交換とフィルター付きのポンプのおかげで23日間飼育することが出来た。予備の水そうをもう一つずつ用意して砂や海水をまめに替えることが出来れば、海水にはプランクトンなどの貝のエサになるものも入っているので、小さなカガミガイを大きく育てることもできるのではないかと思った。砂の色がきゅうに黒くなった硫化水素の問題については、後で調べたら、ポンプ程度の水流では下の方の砂がかきまぜられないので、下の方が無酸素状態になって空気のない所で活発になる微生物のせいで硫化水素が発生したことがわかった。「水そうに手を入れて下の方から砂を全部かきまぜたり、砂そのものをかえてやれば発生しなかった問題だったな。」と思った。