<目次>表紙
(第1章)カガミガイとの出会い
1.研究を始めたきっかけ
  2.化石の標本作り   3.発掘をした浜名湖について   4.カガミガイについて調べた事 
5.カガミガイの採集  
(第2章)カガミガイの生態とカガミガイの貝殻の研究
1.今年の研究テーマ
  
2.研究内容 (1)カガミガイの生態 @カガミガイの飼育観察   
A砂にもぐる速さ調べ
   Bカガミガイとアサリの浄化作用   C温度と動きの関係
(2)カガミガイの貝殻を使った研究@顕微鏡などでの貝殻の観察  
A貝殻の重さに対する強さ調べ  B微生物の入った土に対する貝殻の強さ調べ    
C身の回りの液体に対する貝殻の強さ調べ
D化石の貝についていた砂泥からの水質調べ      
(第3章)研究の結果と今後の課題
1.研究の結果
     2.今後の課題と感想  3.最後に(貝のタイムカプセル) 4.参考文献    5.お世話になった方々 
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A重さに対する貝殻の強さ調べ

(実験の目的)
カガミガイが、何十万年も重い砂泥の下に埋もれていても粉々にならないで化石として残ってきたのには、貝殻の強さが関係していると思ったので、重みに耐えられるカガミガイの貝殻とはどんな貝殻であるのかを色々と条件をかえて調べる事にした。条件は貝殻の大きさがちがう場合、氷河期などの事も考えて冷凍した場合、火山の爆発によって溶岩が流れた時を考えて火で焼いた場合、砂泥の中から外に出されて雨ざらしと天日にさらされた場合を考えて調べる事にした。

(材料)
はかり・ノギス・ラップ・画用紙・木の板・ブロック5個・魚を焼く網・植木鉢用の受け皿・ストップウォッチ

(方法)
(ア)女河浦で採ってきたカガミガイの貝殻34個を全部測って、ひびとかが全くないものを大(長さ4.1〜 4.4cm・重さ10〜11g)、中(3.8 〜4cm ・8 〜9 g)、小(3.6 〜3.7cm・ 7〜7.5 g)にわけた。中の個体が少なかったので小を液体実験用に使うことにして大と中を重さの実験に使うことにした。

(イ)7月6日の朝、ちょうばんの所を外した貝4枚を植木の受け皿に入れて庭に出して30日間天日にさらす事にした。


(ウ)重さの実験をする2日前に、8枚の貝殻を4枚ずつサランラップでまき冷凍庫に入れた。


(エ)実験当日の朝は、まず冷凍庫からラップでまいた貝の一組を出して解凍した。
その後、高熱をかけた後の貝を用意するために、ガスコンロに魚焼き用の網を置き一分間強火で加熱した。

(貝殻の上で焼いた料理などもあって貝殻が火に強いことは知っていたので、前もって静岡ガス総合技術研究所に電話をしたら、曽根さんという方が天然ガスの火はまわりが1500℃、少し中側が1800℃で中心部は少し低く、ガスコンロの中の魚を焼く所では300 ℃前後にしかならないけれど、魚焼き用の網にのせれば1000℃にはなると教えてくれたので網を使って強火で加熱した。)

(オ)次に、テーブルの上に、貝の上にのせる木の板と同じ大きさの四角をかいた画用紙を置いて貝をのせた。貝の置く位置を同じにするために貝の殻頂を四角の角の方に向けて、貝が角から出た両方の辺にあたるようにおいた。


(カ)木をのせてみてぐらつきがあった時は貝をとり替えて、ぐらつきがないようにした。


(キ)木の板をのせた上にそっとブロックを積んでいき、次のブロックをのせるまでの間は30秒の間をとった。


(ク)割れた音がしたら木とブロックをはずした。


(結果とまとめ)
(ア)何も手を加えていないサイズ大の貝は四つ目のブロックをのせたら割れた。バン!とすさまじい音がしたのでとてもおどろいた。


割れ方はきれいな放射型だった。

(イ)何も手を加えていないサイズ中の貝は三つ目のブロックをのせたら割れた。


これも大と同じく放射型に割れた。

(ウ)冷凍室から出して解凍したサイズ大の貝は五つ目のブロックをのせたら割れた。


割れ方は殻頂の所が細かく割れた。

(エ)冷凍室から出したばかりのサイズ大の貝は五つ目のブロックをのせても割れなかったので、B4の紙の束二つとA4の紙の束二つをのせてみたがまだ大丈夫だった。三つ目、四つ目、五つ目のブロックと紙の束はあわせると40.2kgだった。だから体重42kgのぼくがのれるかもと思ったので二つ目のブロックの上にのってみた。そうしたらすぐにバンと大きな割れる音がして割れた。


ブロックと木をのぞいたら、1個だけは全く割れていなくておどろいた。割れた物の内、細かい物は周りに飛び散った。

(オ)ガスコンロで一分間焼いたサイズ大の貝は一つ目のブロックをのせたら割れてしまった。割れ方も他の物とちがいぐちゃっと粉々に割れた。音もあまりしなかった。


(カ)30日間天日にさらしたサイズ大の貝は始めに外に出した時は光っていたが、30日たったら光が消えて少しざらざらしていた。

三つ目のブロックをのせたら割れた。


実験の結果を次の表にまとめた。


 実験を始める前は何も手を加えない方が強いと思っていたが、実験をしてみて冷凍した貝殻がこんなに強くなったのにおどろいた。氷河期とかが来ても、貝殻はかえってかたくなって残っていくのだろうと思った。
 火にかけた場合は貝殻がたった1000℃一分でも弱くなってしまうことがわかった。貝の住む場所や貝殻のある場所がかなりの高温にさらされたら貝は粉々になってしまうのだろう。普段貝殻を使って料理などをする場合は貝の上に水分があるからこわれないのだろう。
 30日間天日干しした貝は雨水のせいか日光のせいかはわからないけれど、元の貝よりも早く割れる結果になった。
 何も手を加えない場合は貝殻の大きいもの、重いものの方が強い事がわかった。大きく成長すればするほど貝が後の時代に残っていく可能性が高いのではないかと思った。