<目次>表紙
(第1章)カガミガイとの出会い
1.研究を始めたきっかけ
  2.化石の標本作り   3.発掘をした浜名湖について   4.カガミガイについて調べた事 
5.カガミガイの採集  
(第2章)カガミガイの生態とカガミガイの貝殻の研究
1.今年の研究テーマ
  
2.研究内容 (1)カガミガイの生態 @カガミガイの飼育観察   
A砂にもぐる速さ調べ
   Bカガミガイとアサリの浄化作用   C温度と動きの関係
(2)カガミガイの貝殻を使った研究@顕微鏡などでの貝殻の観察  
A貝殻の重さに対する強さ調べ  B微生物の入った土に対する貝殻の強さ調べ    
C身の回りの液体に対する貝殻の強さ調べ
D化石の貝についていた砂泥からの水質調べ      
(第3章)研究の結果と今後の課題
1.研究の結果
     2.今後の課題と感想  3.最後に(貝のタイムカプセル) 4.参考文献    5.お世話になった方々 
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Bカガミガイとアサリによる水の浄化作用

(実験の目的)
同じ二枚貝のアサリが水を浄化すると本に書いてあったので、7月9日にカガミガイを、そして13日にアサリの浄化実験をして、二つの貝の浄化作用をくらべる。
浄化作用の様子をはっきり見たかったので、貝殻の成分のカルシウムが入っている粉ミルクと、塩分が多く色が付いているしょう油と、よごれの一つということで青い絵の具と、去年の実験で同じ貝類のナメクジがビールを好んだので色が付いたアルコール分の入った液体ということで赤ワインを使うことにした。

<カガミガイの浄化実験>
(材料)  
海水・しょうゆ・粉ミルクをといたもの・青い絵の具をといたもの・赤ワイン
色のちがいをはっきりさせるためのステージ作り用の空き箱・白い画用紙二枚
ガラスビン9個・計量カップ・スポイト・入出水管を出していたカガミガイ8個


(方法)
空き箱をあわせた上にボール紙をはってステージを作り、海水用のビンには150cc の海水を入れ、しょうゆ用、粉ミルク用、絵の具用、赤ワイン用のビンをそれぞれ二つずつ、元のままのものとカガミガイを入れるためのものを用意した。そして濃度をいっしょにするためにそれぞれ一つのビンに海水300cc を入れ、スポイトで2ccずつしょうゆ等を入れて混ぜあわせた後、その半分をそれぞれの液体用のビンに分けた。
それぞれのカガミガイ用のビンにカガミガイを二個ずつ入れた。
(下の写真は海水のビンとカガミガイを入れた4つの液体のビンの様子)


海水のビンと元の液体のビンの間にカガミ ガイを入れたビンを入れて、30分ごとに写真をとった。2時間半をすぎたら貝がしっかり閉じたままになってしまったので、3時間半で実験を終えた。

(結果とまとめ)
30分ごとに写真をとった結果を次ページにまとめた。1時間後はどれも変化しなかったので、3時間半の実験を終えた時の写真を一番下につけた。
(カガミガイの浄化作用の経過)


(実験後、貝を取り出した後の様子)
左が海水、貝が入っていた物、右が元の液体。
四つの中で一番変化があったのはしょうゆで色がかなり白っぽくなった。


粉ミルクは少し色がうすくなった。


絵の具はあまり変化しなかったが青いゴミがビンの底にあった。貝の周りにも青いゴミがついていた。


赤ワインはあまり変化しなかったが、赤茶色のゴミが底にたまっていて、貝の周りにも赤茶色のゴミがついていた。


去年同じ貝類のナメクジがビールが好きだったので、ビールでも後で実験をしてみたがビールでは全く変化が見られなかった。



<アサリの浄化実験>
7月13日に魚屋さんに行ったら朝、浜名湖でとったばかりというアサリがあったので、アサリでも同じ実験をしてみた。
(写真はアサリとカガミガイを並べたところ)


アサリは生きてるかどうかわからなかったので、並べて入出水管を出したものを8個使った。


結果は下の写真の通りだ。アサリも1時間後は変化がなかったので、1時間半の後に実験を終えた3時間半の写真をつけた。

(アサリの浄化作用の経過)


しょうゆに入れたアサリは入出水管を5pくらい伸ばしてさかんに活動していたがほとんど浄化しなかった。
(右はもとの液)


粉ミルクはかなり浄化して透明っぽくなった。


青い絵の具はカガミガイの時よりも元の絵の具をといた時に濃くしてしまったがかなり浄化した。


赤ワインは少し色がうすくなった。


カガミガイとアサリの元の液体と実験後の液体の写真をパソコンの画像ソフトの吸い出し機能で色判定した結果も入れて、下の表にまとめた。吸い出した所はどれも一番明るく見える所にした。
(どちらも水温は25℃)



浄化実験をしてみて、カガミガイもアサリほどでははないにしても浄化作用をすることがわかった。しょうゆについては、「1時間あたり1リットルの海水を浄化する。」と本に書かれているアサリよりも、カガミガイの方が浄化していたのにはおどろいた。貝によって浄化しやすいものとしにくいものがあるのではないだろうか。
 浄化についてさらに調べたら、アサリなど二枚貝はエサを海水と共に吸い込む時に、環境によっては汚れや毒物も一緒に吸いこんでしまい、栄養としてとりこめずフンに出来なかった汚れや毒は主に貝の中腸腺(黒っぽいウロ)に蓄積される。それが人間にとっての貝毒になるが、貝自身は毒物を吸っても一時的にウロにためるだけで、環境がかわればまたその毒や汚れをフンで出しきって元に戻る事が多いと書いてあった。海の掃除人二枚貝は人間の出した汚れまできれいにしてくれているすごい生き物だ。大切な海を守るためにも、干がたなど二枚貝が暮らす場所が絶対なくならないようにしなくてはいけないなぁと思った。