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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第百八回》ふるさとの文化財

    塩船観音寺しおぶねかんのんじ木像観音菩薩立像もくぞうかんのんぼさつりつぞう
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成22年3月15日

    塩船観音寺は、大悲山だいひざんと号し、真言宗醍醐派の別格本山です。多くの文化財を有する古刹こさつで、ツツジが咲く季節には、青梅市内外から多くの人が訪れる花の寺です。

    寺伝によると大化年間(645~650)に伝説上の女性である若狭の八百比丘尼やおびくにが、関東に遍歴した際に紫金の千手観音像を奉安したことに始まります。天平年間(729~749)に僧行基が堂宇を再興し、周辺の地形が舟形に似ていたため、仏が衆生しゅじょう済度さいどする「弘誓ぐぜいの船」になぞらえて塩船と名付けたといわれます。貞観年間(859~877)には、比叡山の僧安然あんねんが本堂、仁王門、阿弥陀堂など十二の坊舎を建立し寺運隆盛を極めました。

    観音寺の仁王門(国重要文化財)をくぐると、正面に阿弥陀堂(国重要文化財)が有ります。この阿弥陀堂の本尊は、阿弥陀三尊像です。左脇侍(向かって右側)の観音菩薩立像が平成17年に市の有形文化財に指定されています。

    この観音菩薩立像は、鎌倉時代中期の制作で、大仏師法眼快勢らによって造立されたものと考えられています。中尊の阿弥陀如来坐像は江戸時代、右脇侍の勢至菩薩立像は室町時代後期の製作です。

    観音菩薩立像は、像高112.2cm、ヒノキ材寄木造り、玉眼、肉身部漆箔、衣部古色塗りです。腰を左にひねって立ち、曲げた左手に蓮華を持ち、右手は垂らし全指を伸ばしています。台座下框したかまち底面に元禄16年(1703)に記された修理墨書銘が有り、観音寺の諸像と共に、現在に至るまで維持されて来た過程を示す貴重な資料となっています。

    観音寺へは、河辺駅よりバスにて「塩船観音入口」下車、徒歩5分程度です。

    市文化財保護指導員
    大久保 芳木
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