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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第九回》ふるさとの文化財

    塩船 しおぶね観音寺 かんのんじ
    【青梅市指定史跡】
    掲載日 平成13年12月15日

    塩船にある観音寺は、真言宗醍醐派の寺院。 山号を大悲山と称し、本尊は十一面千手観音像(都指定有形文化財)です。

    寺伝によれば、大化年間(645~650)に若狭の八百比丘尼 やおぴくにが当地を訪れ、1寸8分の千手観音を祭ったのが始まりといわれます。 八百比丘尼は、人魚の肉を食べて不老の霊力を得、800歳の長寿を得たといわれる、半ば伝説上の女性です。 塩船周辺は、弥生時代より霞川の低地を利用した稲作が行われ、人々の定住する地域であったことが、当地に仏縁の結ばれた理由の一つでしょう。

    その後、天平年間(729~749)に僧行基が堂字を再興し、辺りの地形が舟形に似ていたため、仏が衆生を済渡する「弘誓の船」に擬して塩船と名付けたといいます。 平安時代に入り、貞観年間(859~877)には比叡山延暦寺の僧安然が来山、観音堂を再興、阿弥陀堂、薬師堂を造営、杉本坊、円林坊など12坊を整えたほか、七社権現を勧請し、寺運は隆盛に向かいます。

    室町時代後期には、当地の豪族三田氏からも崇敬され、諸堂諸仏の修理が行われました。 江戸時代には幕府より、5石の宋印状も下付されています。

    こうした当地の古い歴史を伝える寺院であることから、昭和28年11月3日に寺域が市の史跡に指定されました。 また、重要文化財の仁王門、阿弥陀堂、本堂、都有形文化財の木造二十八部衆立像など貴重な文化財を多く伝え、当時の人々の信仰心、経済力、芸術感覚などに思いを巡らすこともできます。

    観音寺を訪れると、丘陵の小尾根の末端に仁王門があり、尾根づたいに阿弥陀堂、本堂が現われ、堂宇が地形を巧みに利用し配置されていることがわかります。 境域とその背後の丘陵地には、オオタカをはじめ動植物も多く見られ、自然観察やハイキングにも格好な場所となっています。

    ※所在地は、塩船194番地。 河辺駅から多摩バスまたは都営バスに乗り、「塩船観音入口」下車、徒歩5分です。

    市文化財保護指導員
    櫻岡 幸治
     仁王門  阿弥陀堂  観音堂(本堂)
     薬師堂  銅鐘  大スギ
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