塩船観音寺の入口には、室町時代末の建立とされる茅葺きの仁王門(国重文)があります。その門内の左右には、都有形文化財の金剛力士像が安置されています。
堅固で煩悩までも打ち砕く金剛杵を執る者という意味の執金剛神は、釈迦の側にいて仏法を守る神です。執金剛神が二体に分かれて寺の門に配され聖域を守る様になったのが金剛力士です。一般には仁王(二王)として親しまれています。口を開ける「阿形」と、口を閉じる「吽形」とに区別され、阿形像は表出する怒りを、吽形像は内にこもる怒りを表現しています。
金剛力士の像容は、着甲の武装形もありますが、多くの場合、裙をつけるだけの上半身裸形です。腰を大きくひねり、筋骨隆々とした肉体表現、全身に力を漲らせた忿怒の形相は、寺門の守護神として門を通る者を激しく威嚇しています。まさに「仁王立ち」です。
像高は、阿形像273・4cm、吽形像277・6cmで、ヒノキ材寄木造りです。阿形像が向かって右側、吽形像が左側の一般的な配置となっており、東大寺南大門の運慶・快慶仁王像は逆の並びとなります。
天文二年(1533)卯月六日の仁王修理木札が現存し、それによると豪族三田弾正忠政定が大旦那となり、鎌倉仏師円慶が修理しております。造像は、観音堂内の二十八部衆像(ふるさとの文化財118で紹介)と同時期の鎌倉時代後期に、仏師定快一門によって作製されたものと考えられています。
塩船観音寺へは、東青梅バス停または河辺駅北口より都バス(梅77)で塩船観音入口下車、徒歩10分です。
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