Ome navi
Aoume
  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第百十八回》ふるさとの文化財

    木造二十八部衆立像もくぞうにじゅうはちぶしゅうりつぞう
    【東京都指定有形文化財】
    掲載日 平成23年1月15日

    塩船観音寺の観音堂の本尊千手せんじゅ観音菩薩像の両側には、都の有形文化財(昭和58年指定)である木造二十八部衆立像が並んでいます。

    二十八部衆とは、千手観音に従う眷族けんぞくで、それぞれが五百の眷属を従えるといわれ、千手観音と千手観音を信じる人々を守る役割を担っています。その姿は貴紳きしん形、武将形、天女てんにょ形、鬼神きじん形、力士形、獣面形とさまざまです。二十八部衆のメンバーは、阿修羅あしゅら王や鳥頭の迦楼羅かるら王に代表される天竜八部衆、毘沙門天びしゃもんてんの属する四天王、大梵天ぼんてん王や帝釈天たいしゃくてん功徳天くどくてん(弁財天)や神母天じんもてん鬼子母神きしもじん)など、さらに風神、雷神も加えバラエティー豊かな天部てんぶの神々が勢ぞろいです。このメンバー構成は、撰者により小異があるため、観音寺には仁王は含まれていません。

    二十八部衆立像は、像高85cm~102cm、ヒノキ材割わりはぎ造りです。そのほとんどが鎌倉時代の文永5(1268)年~弘安11(1288)年に仏師定快らが約20年の年月をかけて作製しました。後に室町時代の永正9(1512)年に仏師弘円により若干補作されています。

    中世の作で二十八部衆が完備されたものは全国的に珍しく、京都三十三間堂の群像が最古で、観音寺は年代的にそれに次ぐものです。地方作ながら製作技法も優れています。

    像内には、年号や仏師名、造像名、僧形立像、現在の尊名と異なる古名などが墨書で記され、木札や頭髪、仏舎利ぶっしゃり容器などが納入されたものもあります。

    観音寺へは、河辺駅より都営バスまたは西東京バスにて「塩船観音入口」下車、徒歩数分程度です。

    市文化財保護指導員
    大久保 芳木
     参考資料『青梅文化財・史跡・天然記念物』より
    base base base