塩船観音寺の観音堂の本尊千手観音菩薩像の両側には、都の有形文化財(昭和58年指定)である木造二十八部衆立像が並んでいます。
二十八部衆とは、千手観音に従う眷族で、それぞれが五百の眷属を従えるといわれ、千手観音と千手観音を信じる人々を守る役割を担っています。その姿は貴紳形、武将形、天女形、鬼神形、力士形、獣面形とさまざまです。二十八部衆のメンバーは、阿修羅王や鳥頭の迦楼羅王に代表される天竜八部衆、毘沙門天の属する四天王、大梵天王や帝釈天、功徳天(弁財天)や神母天(鬼子母神)など、さらに風神、雷神も加えバラエティー豊かな天部の神々が勢ぞろいです。このメンバー構成は、撰者により小異があるため、観音寺には仁王は含まれていません。
二十八部衆立像は、像高85cm~102cm、ヒノキ材割矧ぎ造りです。そのほとんどが鎌倉時代の文永5(1268)年~弘安11(1288)年に仏師定快らが約20年の年月をかけて作製しました。後に室町時代の永正9(1512)年に仏師弘円により若干補作されています。
中世の作で二十八部衆が完備されたものは全国的に珍しく、京都三十三間堂の群像が最古で、観音寺は年代的にそれに次ぐものです。地方作ながら製作技法も優れています。
像内には、年号や仏師名、造像名、僧形立像、現在の尊名と異なる古名などが墨書で記され、木札や頭髪、仏舎利容器などが納入されたものもあります。
観音寺へは、河辺駅より都営バスまたは西東京バスにて「塩船観音入口」下車、徒歩数分程度です。
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