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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第百五回》ふるさとの文化財

    観音寺かんのんじ薬師堂やくしどう
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成21年12月15日

    観音寺(塩船観音)の仁王門をくぐり、阿弥陀堂を横に過ぎ、大スギを見上げながら階段を上ると、本堂下の広場に出ます。この広場の西寄りに建つ小仏堂が、薬師堂です。さり気ないたたずまいのお堂に、寄棟造よせむねづくりで厚味のある茅葺かやぶき屋根が重みを与えています。

    建物としての建築年代は不明ですが、板壁の造りや、天井がなく屋根の下地が見える構造に古い様式が残され、文化財に指定されました。貞観年間(859~876)に天台宗の安然が比叡山から七社権現を勧請し、阿弥陀堂、薬師堂、十二僧坊等を建立したともいいます。

    堂内には、藤原仏とされる木像の薬師如来立像一体が安置されています。薬師如来は、衆生を病苦、災難から救済する仏とされ、日光・月光両菩薩を脇侍とする薬師三尊としても尊崇されます。現世利益、特に医療に関する功徳のあるとされる薬師如来は、昔から人々に信仰されてきました。

    山間の木造建築物は、板壁がキツツキの仲間に穴を開けられたり、天井裏がムササビのねぐらに利用されたりする場合があります。薬師堂にはそうした兆候はなさそうですが、建物南面の一本の柱には、虫食いの穴が多く、色も黒ずんでいます。昭和46年(1971)の解体復元修理の際、柱は新しいものに取り替えたのですが、この一本だけは従来からの柱が残されたそうです。

    平成21年11月、劣化が進んでいた茅葺の屋根を全面的に葺き替えました。

    薬師堂へは、塩船観音入口バス停から徒歩10分です。

    市文化財保護指導員
    桜岡 幸治
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