掲載日 平成24年5月15日 |
青梅市の北東部、成木川とその支流の二本竹川を分ける尾根の末端が、標高約190mの小さな突起を作ります。この小突起の南面が、成木熊野神社の境域で、都指定の史跡です。 成木熊野神社は、元亀2(1571)年、成木在住の木崎平次郎美作が、紀州熊野権現を当地に勧請したのが始まりと伝えます。祭神は 入口の石の鳥居をくぐると、184段の石灰石作りの石段が山腹に続きます。登り上げた平地に拝殿、本殿、絵馬殿、神楽殿等が配置され、周囲をスギやヒノキの林が囲みます。旧上成木・下成木村の鎮守としての旧態を、よく留めている史跡として評価されています。 神社や寺院の境域は、往時の様子だけでなく、野生動物が住み易い環境を保持する場合もあります。石段を登りながら、周囲のスギの樹皮を見ると、所々が丸く毛羽立つように削られています。たぶん、リスが巣の材料としてむしり取った跡でしょう。やはりスギの幹に、縁に新しくこすれた跡のある丸い穴が幾つかありました。コゲラ、シジュウカラ、ヤマガラ等の野鳥が、巣穴として利用している可能性があります。こうした痕跡から、境域周辺の自然条件や生物の変化を昔に辿ると、想像は創建以前の時代に遡ります。 成木熊野神社へは、成木三丁目バス停(都営バス)から徒歩数分です。 | |
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市文化財保護指導員 櫻岡 幸治 | ||