Ome navi
Aoume
  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第百三十四回》ふるさとの文化財

    成木熊野神社境域なりきくまのじんじゃけいいき
    【東京都指定史跡】
    掲載日 平成24年5月15日

    青梅市の北東部、成木川とその支流の二本竹川を分ける尾根の末端が、標高約190mの小さな突起を作ります。この小突起の南面が、成木熊野神社の境域で、都指定の史跡です。

    成木熊野神社は、元亀2(1571)年、成木在住の木崎平次郎美作が、紀州熊野権現を当地に勧請したのが始まりと伝えます。祭神は伊弉諾命いざなぎのみこと速玉之男命はやたまのおのみこと他で、寛永17(1640)年再興の本殿が都の有形文化財、獅子舞が市の無形民俗文化財に指定されています。

    入口の石の鳥居をくぐると、184段の石灰石作りの石段が山腹に続きます。登り上げた平地に拝殿、本殿、絵馬殿、神楽殿等が配置され、周囲をスギやヒノキの林が囲みます。旧上成木・下成木村の鎮守としての旧態を、よく留めている史跡として評価されています。

    神社や寺院の境域は、往時の様子だけでなく、野生動物が住み易い環境を保持する場合もあります。石段を登りながら、周囲のスギの樹皮を見ると、所々が丸く毛羽立つように削られています。たぶん、リスが巣の材料としてむしり取った跡でしょう。やはりスギの幹に、縁に新しくこすれた跡のある丸い穴が幾つかありました。コゲラ、シジュウカラ、ヤマガラ等の野鳥が、巣穴として利用している可能性があります。こうした痕跡から、境域周辺の自然条件や生物の変化を昔に辿ると、想像は創建以前の時代に遡ります。

    成木熊野神社へは、成木三丁目バス停(都営バス)から徒歩数分です。

    市文化財保護指導員
    櫻岡 幸治
    base base base