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  • 更新日 2014年4月21日
  • 青梅市「広報」より
    《第百五十七回》ふるさとの文化財

    世尊寺せぞんじ釈迦如来坐像しゃかにょらいざぞう
    【市指定有形文化財】
    掲載日 平成26年4月15日

    根ヶ布にある天寧寺の総門をくぐり、参道を登りきると、「高峯山こうほうざん」と書かれた立派な楼門があります。その楼上に釈迦如来坐像は安置されています。

    この釈迦如来坐像はもともと、御岳山山上に鎌倉時代創建された世尊寺せそんじにあった釈迦堂のご本尊でしたが、天明年間(1781~1789)に世尊寺が廃寺となったため、同じ山上にあった正覚寺しょうかくじに移されました。しかし慶応4年の神仏分離令により正覚寺も廃寺となり、釈迦堂も取り壊され釈迦如来坐像は谷間に捨てられてしまったといわれています。その後、青梅の篤志家たちの努力により明治9年に天寧寺山門楼上に納められたということです。

    釈迦如来坐像は、木像・割矧わりはぎ造り・漆箔うるしはくで像高51.1cm、光背こうはい総高86.5cm、台座総高54cmの大きさで光背には雲烟うんえんを彫成し、頂部に大日如来一躯・中央部左右に飛天二躯・下部に迦陵頻伽がりょうびんが二躯が配してあり、台座は蓮華六重になっています。永正8(1511)年に著名な鎌倉の仏師下野弘円しもつけこうえんが制作したものではないかとされていましたが、平成19年の解体修復された釈迦如来坐像の首ほぞ部正面墨書きに「正和元年子ノ年十二月二日」とあったことから、正和元年は1312年ですので室町時代より古い鎌倉時代のものかもしれません。また、両脚部墨書きには「永正八年十一月廿四日書 仏所下野法橋ほっきょう弘円(花押)云々」とあることから永正8年に弘円が修復し、その時に肩幅を少し広げた痕跡も見つかりました。いずれにしろ数奇な運命をたどった釈迦如来坐像は今、山門楼上で十六伽藍と共に安らかに鎮座しています。楼門の上にあるため仏像は非公開です。天寧寺へは、JR青梅線東青梅駅北口より徒歩20分、都バス成木循環根ヶ布下車徒歩3分です。

    問い合わせ 郷土博物館電話23-6859

    市文化財保護指導員
    儘田小夜子
    釈迦如来坐像
    永正8年 正和元年
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