掲載日 平成17年1月15日 |
御岳山山麓の滝本から始まる表参道の入口に、滝本の大スギがあります。樹齢を経ていますが、技先には多くの葉が見られます。 現在、地球の温暖化は国際的な問題です。温暖化の原因の一つは、人間が産業革命以後、石油や石炭等を大量に燃やし、大気中の二酸化炭素量を増加させたことです。二酸化炭素を炭素に換算すると、近年の人間活動等による大気中への炭素放出量は年間71億トン、地上・海洋生態系等への吸収が38億トン、大気への蓄積が33億トンという試算もあります。温暖化防止には、二酸化炭素を出さないことが第一ですが、植物(主に樹木)による二酸化炭素の吸収・蓄積効果も注目されています。 樹木は光合成で二酸化炭素と水から、自分の体を作る養分を作り、炭素として幹などに蓄積します。ただし樹木は呼吸や、枯れて分解する時には二酸化炭素を放出します。樹木の二酸化炭素吸収量は、条件により大きく変化します。スギでは20~30年生で最も効果が高く、スギ人工林では、年に1ヘクタール約5トンの炭素を吸収するともいわれます。老齢木になると吸収力は次第に衰えます。 こうした木材を、建築材や家具材として利用すれば、二酸化炭素の固定時間をさらに延ばすことができます。ヒノキの木材としての寿命は、数百年~千年にもなります。 滝本の大スギの太い幹は、二酸化炭素を吸収してきた結果です。 これからは、大木を含む森林全体の機能も大事になります。 滝本へは、JR御嶽駅からバスで10分です。 | |
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市文化財保護指導員 櫻岡 幸治 | ||