掲載日 平成17年8月15日 |
武蔵御嶽神社では、この4月・5月を中心に12年に一度の式年大祭が行われました。 その期間中連日行われた「毎日祭」には、神宝の蔵王権現像の特別拝観があり、およそ8千人の参列がありました。 その際、本殿前の中門には鉄製の俵形賽銭箱が置かれていました。 米俵の実物から鋳型を作り、鋳造されたと言われており、400年前の米俵の姿を今に伝える大変貴重なものです。 大きさは一般的な4斗俵より小さく2斗俵と思われ、長さ約60㎝、直径約40㎝、重さは約40㎏です。 上部には直径20㎝ほどの穴があり、鉄の厚さは1㎝ほどで中は空洞です。 鉄がさびて穴があいた部分もありますが、 『武蔵名勝図会』には、「武州杣郷 金峯山神主濱名助六郎吉胤代當國柏原大工神田圖書作者齋藤六郎兵衛也願助左衛門 慶長十五年庚戌九月五日(※実物には九日と刻まれている)」とあります。 濱名助六郎吉胤が神社責任者の代に、今の埼玉県狭山市柏原の鋳物師神田圖書によって製作され、慶長15年(1610年)に奉納されたようです。 かつては本社に向かって左手にあった恵比寿大黒社前に置かれ、記録には花立てとも賽銭箱ともあります。 この鉄製俵は、武具などが多い神社収蔵品の中では異質の品ですが、江戸時代から神社を紹介した書物に、国宝の鎧や鞍と合わせよく取り上げられ、平成9年には東京都指定有形文化財の指定を受けるなど、その価値は高く評価されています。 鉄製俵形賽銭箱は、武蔵御嶽神社宝物殿2階に展示してありますが、開館日が今年から土・日曜日、祝日だけとなっていますので、ご注意ください。 | |
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市文化財保護指導員 須崎 直洋 | ||
参考資料『青梅文化財・史跡・天然記念物』より | ||