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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第百十三回》ふるさとの文化財

    神楽面かぐらめん
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成22年8月15日

    武蔵御嶽神社には東京都無形民俗文化財に指定されている、太々神楽だいだいかぐらが伝わっています。本来は講と呼ばれる神社を信仰する団体の申し込みにより演じられ、一般の方は見る機会がありませんでしたが、最近は6月と9月の一般公開や、10月に行われる観光協会主催のたきぎ神楽などで、どなたでもご覧になれるようになりました。

    この神楽は素面で儀式的な舞と、面をつけ神話を題材とした神楽に大別されます。素面の神楽は寛延2(1749)年に、出雲神楽の流れをくむ『神吉田かみよしだ流神楽』が伝わり、面神楽は安永年間(1772~1781)に江戸里えどさと神楽の系統の神楽が伝えられました。

    神楽で使われるものには、装束・舞手が持つ採物とりもの・お面などがあります。現在使われる装束は25種類ほどあり、正絹しょうけん千早ちはやと呼ばれる羽織にはかまなどで、金糸銀糸で織られた衣装もあります。舞手の持ち物は、幣や鈴・扇子・太刀・剣・ほこ・弓矢・榊・笹・杓子しゃくしなどで、特に素面神楽の採物は、神の依り代といわれ、舞手に神が宿り演じられるといわれます。お面は現在20種類が使用されています。面や装束はとても高価で、いくつかは併用して使われています。

    古い面の中には、江戸初期あるいはそれ以前の作と推定されるものもあります。墨書などはありませんが、伝えられた時、すでに使用されていたものと考えられます。この面の内、古様を残す6面が昭和43年青梅市有形文化財に指定されました。古い面は表面の塗りががれ、公開されていませんが、現在使用されている面も、古い面を基に作られています。

    神楽の伝承は、先輩より稽古けいこをつけてもらい、実際に演じる事により、熟練した神楽になっていきます。しかし、講中の太々神楽申し込みが減り、若手の神職がせっかく習得した演目も、実践で舞わないため、継承が難しくなってきました。そこで、6月~11月の第4日曜日夜8時より神社の神楽殿で「夜神楽」を行い、若手が習いたての演目を熟練した舞手も交えて演じています。終演に合わせて臨時ケーブルも運行されますので、長閑のどかな夜神楽をぜひご覧ください。

    市文化財保護指導員
    須﨑 直洋
    参考資料 『青梅ゆかりの文化財』より
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