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  • 更新日 2013年10月23日
  • 青梅市「広報」より
    《第百五十一回》ふるさとの文化財

    鍍金長覆輪太刀残欠ときんながふくりんのたちざんけつ
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成25年10月15日

    武蔵御嶽神社宝物殿の収蔵品の中で、太刀につけられた帯金物などに、桐の薹紋とうもんを毛彫りしたものがあります。今回はその太刀『鍍金長覆輪太刀残欠ときんながふくりんのたちざんけつ(一口)』をご紹介します。

    この太刀はこしらえ全体を想像しても小型であることがわかるもので、現在は残欠として保存されています。つかの部分は無く、それに伴う、兜金かぶとがね猿手さるて縁金物ふちかなものつば等も失っており、現存するさやの一部分を市の有形文化財に指定しています。

    幅は3cm、厚さ1cmと肉取は薄く、全体の長さは40cmで、両側から貼り合わせた鞘の片側末端は欠けています。

    鞘口から見ると木製の鞘に木製の刀身が納められた状態で残っています。そして、この周囲は金属の薄い板で覆われ、覆輪を含め、足金物で留められていることが確認できます。鞘には、一の足金物、二の足金物が残っています。二の足金物の後方数cmの所には、ゆるみがあり、現在は、鞘の板(地板)が抜けます。

    峰部分や刃の部分、そして地板や帯状金具にはすべて鍍金が施され、現在でも確認することができます。また、鞘の側面には毛彫りによる文様が施され、足金物には桐の紋が彫られています。

    このことから、この太刀は、小さいながら手の込んだ立派なものであったことが考えられます。

    市の有形文化財への指定理由としては、足利将軍家から武蔵御嶽神社に奉納されたと伝えられていること。南北朝時代から室町期のものと思われ、当時の武蔵国府との関係を語るなど重要な遺品であることを挙げています。

    桐の紋は天皇家の紋ではありますが、足利氏はその使用を許されていたため、おそらく鎌倉公方かまくらくぼうの足利氏に関係するものであろうと思われています。

    中世から近世に移る時期、武蔵御嶽神社の歴史は、この太刀の足金物に付された桐の紋により歴史の一部を想像させてくれます。

    ぜひともこの繊細な毛彫りの桐などを確かめてみてください。この太刀は武蔵御嶽神社宝物殿にて常設展示されており、毎週土・日曜日の開館日に見学できます。

    問い合わせ 郷土博物館電話23-6859

    市文化財保護指導員
    鈴木 晴也
    鍍金長覆輪太刀残欠
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