武術奉納額とは、武術の流派が武術の向上を祈願して、神仏に奉納する額です。
今回紹介する武術奉納額は慶応三(1867)年に奉納されたもので、大きさは縦187.5cm、横359.8cmです。
本額の右上端には「甲源一刀流剱術比留間半蔵源利充門人/開平三知流武術」と書かれ、次いで、奉納者の紹介で「三田弾正忠平氏宗男下太郎左衛門尉相馬宗定/住干武州長淵郷十代孫三田東市相馬宗孝入道/三知齊開於當流男貞次相馬宗相一子」と書かれています。そして、大きな文字で、奉納者代表である「三田左内相馬宗美」と大きく書かれています。
「宗美」の左側には、「男」(子息のこと)として三田愛吉相馬宗秀が、「高弟」として宇津木榮之丞藤原光次、平岡磯三郎源義信、青木半右衛門多活比賢守の3人の名前があり、その下には後見として4人、差添として5人の名があります。免許者として榎本啓次郎源保貴ほか27人、目録として69人、薙刀として女性2人、客席として3人、諱名なしの門人が94人、世話人として21人、當山剣道連として19人、山内世話人として5人の氏名が載っています。
額縁は昇り龍を中心に、降り龍を波濤の中に高肉彫とし、上縁の右側には相馬流平氏の九曜紋を、また下縁の左側には、同じくその替紋である繋ぎ馬の紋を加え、胡粉で彩色しています。これらの装飾は、市内に現存する剣道額の縁の加飾として最も技巧的で優品であることから、平成15年8月2日、市の有形文化財に指定されました。現在は御嶽神社宝物殿に保存されていますが、状態が悪いため非公開です。
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