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  • 更新日 2013年7月24日
  • 青梅市「広報」より
    《第百二十七回》ふるさとの文化財

    兵庫ひょうごぐさり
    【青梅市指定有形文化財】
    掲載日 平成23年10月15日

    武蔵御嶽神社の宝物殿には、いわゆる完形品ではなく、部分的な物に対して文化財の指定をされた物が有ります。写真は、「兵庫ひょうごぐさり〈かねへんに毎〉太刀拵残欠たちごしらえざんけつ(2連)」で、鎌倉時代末期に奉納用の太刀として作られたものの残欠で、名称の兵庫ぐさりは兵具ひょうぐぐさりがなまったものと言われています。

    これは、平安時代を境に、古くは直刀での大刀たちまたはそれ以降に作られた反りのある太刀たちさや装填そうてんされた器具で、全体は帯執金物おびとりかなものと呼ばれています。先端にあるわなに帯を通し、その帯を締めることで太刀をくこととなります。中央のくさり部分を帯執(兵具ぐさり)といい、古くは韋製なめしがわせいのものが多く、鎌倉時代になって、くさりで丈夫に作られるようになりました。また、中央に逆三角形で付いている器具は据文金物すえもんかなものと呼ばれ、三条のくさりを平らにまとめています。これらは、覆輪ふくりんをめぐらした太刀につけられ、より一層飾り付けも色も瀟洒しょうしゃとなり、公家や高位の武官が好んで用いるようになりました。あまりにも華美になり過ぎたため、寛喜かんぎ三(1231)年には兵具ぐさりや長覆輪太刀ながふくりんのたち贅沢ぜいたく品として共に禁制とされた事もあり(『東鏡あずまかがみ』)、現在残っている物は神宝として社寺に奉納され残されてきたものが多いようです。

    二つの足金物あしかなもの徳利とっくりの形(瓶子へいし)をしており、全面に鱗紋を彫り、側面は猪目形いのめがたに掘り抜かれています。左側は全長17.1cm、重さ47g、右側は全長14.2cm、重さ60gです。据文金物は北条氏の紋所三鱗紋もんどころみつうろこもんを意匠に作られ、逆三角形の取り付けは当時のままであることが確認されています。この帯執金物と類似したものが栃木県日光の二荒山ふたらさん神社と埼玉県さいたま市緑区の氷川女体ひかわにょたい神社に奉納されており、都下における本件は、たいへん稀少な存在であることから、昭和51年11月3日に青梅市指定有形文化財に指定されています。

    市文化財保護指導員
    鈴木 晴也
     参考資料
    『青梅ゆかりの文化財』より
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