日の出山の山頂からすこし下ったところに、人の顔を掘った50センチほどの岩がある。
あごかけ岩と呼ばれ、あごの部分が欠けている。
むかし、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が、はるばる関東へやってこられたとき、御岳山へ行く途中ここを通りかかった。
ふりかえると、広い関東平野が一望に見わたせた。 尊は、この広い平野を平定され、さらに信濃へ向かおうとされていた。
「おう、はるばる来たものだ。」
尊は、この岩にあごを掛けてひと休みされた。 ここから先は、けわしい秩父の山々ばかりである。 行く手を阻むかのように、御岳山や大岳山がそびえていた。 どんな苦難が待ちうけているのか。 尊は、ひそかに心をひきしめ御岳山への道をのぼって行った。