お手がそろえば文句にかかる
よいこのさんさ
めでためでたの若松さまよ
枝も栄えて、そりゃ葉もしげる
枯れておちても、そりゃ夫婦づれ
よいのよいの エンヤラネー
これは、むかし家を建てるとき、土台を固めるため土搗(つちつ)きをしながら唄ったドウヅキ唄である。 ドウヅキは、太い木を何本か組んで、まん中に重石をつるし、それに綱をかけて大勢で引くものである。 「よいこのさんさ」ともいう。
ドウヅキは、何日もかかり、単調な作業である。 ドウヅキ唄は、その作業を楽しくするために、この他にもいろいろと即興(そっきょう)でおもしろおかしく唄によみこまれた。
このドウヅキがあった日、御岳神社の山の方から、毎晩のように 「よいこのさんさ・・・・」 という声がするのである。 「天狗さまが、夜まねをしてらあ」と、人びとはいった。