Ome navi
Aoume
  • 更新日 2011年10月20日
  • 川天狗かわてんぐ

    むかし、沢井の多摩川で魚捕りをしていた男がおった。 その男は、投網うちの名人で、いつもたくさん捕るのだった。

    ある日、ハヤやヤマメをびくいっぱいに捕った。

    「さて、そろそろ帰るとするべえ。 今日も大漁だわい。」

    ほくほくしながらひとりごとをいっていると、うしろでバシャ、バシャと水音がした。

    「だれか、いるのかい?」

    首をのばして音のする方を見た。 でも、だれもいない。

    「そら耳かなあ。」

    そう思って、びくを持ちあげると、あんなにあったハヤもヤマメも一匹もいなくなっていた。

    「ありゃ、川天狗さまにやられたあ!」

    その男は、へなへなと座りこんでしまった。

    あまり魚をたくさん捕るので、川天狗が怒ってとりかえしたのだそうである。