Ome navi
Aoume
  • 更新日 2011年10月20日
  • 人形舟にんぎょうぶね

    多摩川に、夜霧がたちこめると、まぼろしのような人形舟があらわれる。

    重病や災難にあった者は、紙の人形で体をなでて多摩川にながす。

    霧の夜、人形は、まぼろしの人形船となって多摩川をくだっていく。  この舟を見た者は、けっして近づいたり石を投げたりしてはいけない。  ふりかえらずにいそいで帰れ、といわれている。

    ある夜、釣りをしていた男の前を、人形舟がゆっくりと流れていった。  男は、それでも平気で釣りをしていた。

    ところが、それからまもなく、変なことを口走るようになって、気がふれてしまった。

    そのころ、青梅のある娘は、気が狂(クル)っていたのだが、すっかり直ってしまったそうである。