Ome navi
Aoume
  • 更新日 2011年10月20日
  • 天狗笑いてんぐわらい

    ある日、御岳の御師のところに、ひとりのきこりがとびこんできた。

    「た、たすけてくだせえ。 山で杉伐りをしていたら、 天狗さまがでてきてガハ、ガハ笑うだよ。

    『天狗さま、悪いことはしませんから、どうか笑わねえでくだせえ』 っていうと、 どこかへ行ってしまうだが、すこしたつとまた出てきてガハ、ガハ笑うだよ。 もう気味がわるくて安心して木も伐れねえだ。 どうか出てこねえように拝んでくだせえ。」

    「そうか、それはきのどくに。 では、わしが天狗さまによくたのんでやろう。」

    御師は、すぐに拝んでやった。

    すると、やっと天狗は出てこなくなったそうである。

    また、ある朝きこりが、御岳山にのぼっていくと、どこかでドカーン、ドカーンと木を伐っている音がした。 耳をすましていると、こんどはザザーンと木の倒れる音もした。

    でも、だれも木を伐っているものはいない。

    「天狗さまだな。 でてきて笑われるかな。」

    そう想いながら、山道をのぼっていくと、案の定、山の上のほうで、「ガッハッハッ・・・・」という笑い声がしたそうである。