Ome navi
Aoume
  • 更新日 2011年10月20日
  • 二間の岩の狼にけんのいわのおおかみ

    むかし、沢井の山奥で、数人のきこりが木の伐採をしていた。 山の中に仮小屋をつくり、いく日も泊まり込んでする大仕事だった。

    伐りたおした木は、りんといって山の斜面に横に積み重ねておく。

    ある日、いちばん年の若い孝平さんが、伐った木にトビグチをひっかけて、山の上からおろしていると、りんの上に猫とも犬ともつかない動物が、ちょこんと乗っていた。 

    全身は茶色い毛でおおわれ、青光りする目でじっと孝平さんを見ている。 うすきみ悪くなった孝平さんは、思わず石をひろって投げつけた。

    すると、それは、ひらりとりんから飛びおり、下にある「二間の岩」とよばれる大岩のかげに走りこんでしまった。

    その夜、きこりたちは、仮小屋で休んでいた。 まん中にあるいろりをかこんで、酒を飲み、よもやま話に花がさく。

    家族とはなれての山小屋暮らしは、さびしくもあるが、男同士の酒盛りは、気楽でたのしくもあった。

    夜もふけて、「さて、そろそろ寝るべえ。」

    と、だれかがいったとき、

    ガラ、ガラ、ガッキーン!

    とつぜん、ものすごい音。 ランプの灯りが、ふっと消えた。 いろりの火まで、すうっと消えていく。 と、こんどは、

    仮小屋は、山の斜面からころげ落ちそうにゆれだした。

    「くわばら、くわばら・・・・・。」

    きこりたちは、外へ逃げだすこともできず、ふとんをかぶってふるえているばかりだった。

    やっと夜があけると、さわぎはうそのようにおさまってた。 年寄りのきこりがいった。

    「孝平、お前のせいだぞ。 きのうりんの上にいたけものをかまったんべ。 ありゃ、二間の岩に住んでいる狼の子だったにちげえねえ。 だから母狼が怒ったんだよ。 狼をいじめると、たたりがあるっちゅうけど、ほんとうだ。 もうけっしてかまうじゃねえぞ。」

    「うん。」

    孝平さんばかりでなく、ほかのきこりたちも、肝に命じたということである。